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里主コラム
コラム 41 月に雁
コラム 42 1千兆円
コラム 43 ウナギの寝床
コラム 44 重陽の宴
コラム 45 金木犀
コラム 46 Halloween
コラム 47 道しるべ
コラム 48 戦後農政の大転換?
コラム 49 台風30号(HAIYAN)
コラム 50 大黒さん

 

里主コラム 1~10 51~60  101~110  141~150  191~200
里主コラム 11~20 61~70  111~120  151~160  200~211
里主コラム 21~30 71~80  121~120  161~170  
里主コラム 31~40  81~90  121~130  171~180  
里主コラム 41~50  91~100  131~140  181~190  

 

 
  • 月に雁

     

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  •  寒露は渡り鳥の雁が群れをなして飛来する時節です。
     稲刈り後の未だ水が干上がらない田にある落ち穂や水草や小鮒や泥鰌がお目当てで、格好のよい餌場です。特に無農薬・無化学肥料で栽培している当里の圃場を選んでやってきます。自然栽培しているのが解るのでしょう。雁だけではなく、その前はコウノトリが2羽やってきて3週間程仲良く暮らしていました。
     江戸後期の浮世絵師歌川広重は、三羽の雁が夕空に舞い降りる美しい光景を満月の半分に雁を重ねた大胆な構図で表現して、秋の夕暮に「雁が音」が聞こえるような見事さでその一瞬を捉えています。また「こむな夜か 又も有うか 月に雁」と添えて澄んだ秋空に移りゆく自然の妙を詩情豊かに詠んでいます。

  •  雁が舞い降りる頃は一日の農作業も終わりに近づき、疲労もピークに達しています。
    秋の静けさにかん高く啼く雁の群れが矢状に降下するのを見聞きすると、終い仕事を早めて飛ぶ群れに  「塒を渡す刻時だぞ」と急かされているようで、我々の持ち時間ではないことを諭されているようです。
     もし雁が飛ぶ環境に居られたら、思い起こして下さい。
     微妙なバランスのもとに成り立っている自然の妙を。そして人もバランスを崩さない心がけを持って暮らすことを。

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  • 1千兆円

     国の借金がついに1千兆円を突破。
     天文学的数字、どこの家庭でも収入に見合う中で家計のやりくりをするのが普通、お金がないのに際限なくサラ金で借りて欲しいものを買ったらその先は夜逃げか最悪自殺に追い込まれます。しかし、国の財政政策は趣を異にしています。国民は毎日の出費には慎重で、主婦はスーパーで買い物をする時には1円でも安いものを探して涙ぐましい努力をしますが、こと税金となるとサラリーマンは源泉徴収されるし事業主は確定申告する。その先お金が自分より遠くなればなるほど無関心を決め込み、他方国会議員の先生方は国民のゴキゲン取りで大盤振る舞い、それをしないと「落選」の二文字が待っている。先生方の多くは二世三世でサラリーマン化して「国家百年の計」を考える政治家を探すのに苦慮する時代。今の民主主義システムに大きな問題が内在しています。時代が変われば新しいニーズに合わせて法整備と新組織が生まれる。時代に合わない組織は当然解体されるはずが巧妙に名前を変えて生残り巨大組織化する。官僚は組織防衛に奔り既得権益を放さない。
     今、アメリカ議会の民主、共和両党が意地を張り合って連邦政府の一部機関が閉鎖され機能不全に陥っています。小さな政府を標榜する共和党下院とオバマ政権(民主党)の大きな政府の政策目標がガチンコ対決、デフォルトの心配までされています。民主主義国家の雄がこの有り様です。リーマン・ショック後の景気対策にFRBはQE1、QE2、QE3と通貨の量的緩和を進め基軸通貨を世界にまき散らし、ユーロ圏も同じく緩和策をとって危機突破を図っています。世界に紙幣がジャブジャブです。
    話を戻して、天文学的な日本の借金は大幅な歳出削減と大増税の抱き合わせかモーレツなインフレにして返済金額を目減りさせるしか方法がありません。
     アベノミックスで黒田日銀総裁が2年間でインフレターゲット2%を掲げて奮闘されていますが国債金利が1%増えるだけで金利10兆円を予算増額しなければなりません。ギリシャやイタリアの例のように一旦金利が上がり始めると止められません。国民が大増税と大幅歳出削減を受け入れるでしょうか? 残された道は唯一つ。その時刻は刻々と近づいていますが・・・。
     もしリッチな御仁が居られたら米ドル(米株)か香港ドル(中国株)が安値に放置された時が絶好の買いのチャンス、税制が国によってかなり差があり香港やシンガポールに口座を設けて円安と株高を享受されてはいかがでしょうか。それほどの方であればとっくに実践されていると拝察いたしますが…。

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  • ウナギの寝床

     昭和の御代はそこここに真竹、孟宗竹などの竹藪が沢山あった時代、生活に欠かせない農具や草屋の屋根や壁地、釣り竿や茶筅など多彩な用途に使用われ、子供は虫かごや竹とんぼを小刀で作って遊んだものです。今、孟宗竹は猛烈な勢いで雑木林を駆逐して広葉樹が消えて山が荒れはる竹害が目に余りますが・・・。
     早春3月にはタケノコ掘りをして春を頂き、10月には3年以上の竹を間引きして竹加工に備えました。竹は三年すると立派な成竹になり、竹秋と言って5月から6月にかけて葉が落ち新しい葉に毎年入れ替わります。
     真竹や孟宗竹を10月に切って三節ほどで裁断、表皮を剥き、二節の中を貫通させ内側の表皮を薄く剥いで、最後の一節残した所から10センチ程度より上に10センチ程の開き窓を作り、真竹の籤を編んで円錐形にして真竹や孟宗竹の節を抜いた口に取り付けます。円錐形の竹串は入ると出られないように仕掛けてあります。それを湿田に埋めて1年置き灰汁を抜いて竹の匂いを消し仕上がりです。これを私どもの里では「筒」と呼んでいますが、ウナギを捕る仕掛けになります。つまりウナギの寝床(餌場)です。
     翌年の梅雨時期から夏にかけておたまじゃくしを開窓の中に二・三匹入れて夕刻に小川のウナギがいそうな場所に入口を川下にしてセッティングして準備完了。翌朝に仕掛けた「筒」を回収に出かけますが、これが楽しみで昔は20本程仕掛けて全て入った時もありました。夜には七輪で炭火を起こし金網の上で鰻の蒲焼、タレを付けて美味しい夕飯の一品が出来上がりです。今市販されている養殖ウナギと違って身がしかりして味は抜群です。背骨だけ取ったものは別に焼いて酒のあてに最高、肝は吸い物に入れて三つ葉と合わせて香りと味を楽しむ夏バテ防止食です。
     今はその漁法も「筒」の存在も忘れ去られようとしていますが、とても残念です。
     四季が崩れようとしている日本の気候風土に本能的に恐怖を感じますが、そう思いませんか?

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  • 重陽の宴

     菊は不老長寿の象徴、菊香る時節、当里の名前に由来する「なかがわ野菊」は当里を流れる那賀川の中流域に自生し、川中の岩肌にのみ咲く野菊で絶滅危惧種に指定されています。花は初め白く満開になってから紫に変色してゆくカワラノギクの一種です。大雨が降って激流に咽まれてもしっかりと岩肌に根を張って流されず、水の抵抗を少なくするために葉は細く長く而も三つ葉になっています。これから可憐な小さな花が沢山咲く時節です。天皇家の菊の御紋は花びらが16枚ですが、なかがわ野菊は23枚もあります。
     丁度、早生とナカテの稲刈りが終わり晩稲の稲刈りを待つばかりで、農家はちょっと一息つく頃、重陽の節句を19日の十五夜の宵に同じキク科のヨモギを入れたヨモギ餅をつき、栗飯をたいて酒に生菊を浮かべて胚を交わし、月を愛で菊香を楽しみ、薬事療法と併せ持って家族みんなで長老を祝い健康を願って宴を催します。体を労ると共に晩稲の収穫に備えます。ちなみに平安時代は中国故事に倣って旧暦9月9日に菊酒を飲んで長寿を祝い若返りを祈願して深まる秋を惜しみながら和歌を詠んで宴を催していました。(重陽の宴)
     藤原行成や藤原公任など書の達人が排出された時代でも在り、漢詩や和歌を行・楷・草書、かな文字で流麗にして雅びに表現し、洗練された書体は日本の最高傑作として墨跡は今も現代人を魅了してやみません。
     旬の歳時が年々歳々忘れ去られようとしていますが、農家には時節と共に作物を作り育て収穫の喜びと自然へ感謝、そして自分を労る暮らし向きが今も残っています。
    満月の宵にもう一度歳事を見直して菊酒はいかがでしょうか。
    きっと心豊かにして健康で暮らせるヒントがあると思います。

     

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  • 金木犀

     澄みきった青空、肌に心地よい風、この時期どこからともなく漂ってくる甘くて爽やかな香りに思わず歩路を芳しい風向きへと辿ってしまいます。その先は黄金の小花を沢山つけた金木犀の様子が覗えます。秋を代表する花木は香りから品の良さを感じます。原産は中国南部の有名な景勝地、南画や水墨画に古来よりよく描かれている桂林地方で、中国語で桂は木犀のこと、沢山の木犀が有ることから桂林といわれているそうです。現地中国では銀木犀しかなく日本の金木犀は突然変異で生まれたもので、日本人好みの香しさから広ろく庭木に植えられています。ちなみに花言葉は謙虚、真実、初恋だそうで、全くその通りで同感です。
     今、我が家にも50年ほどになる金木犀が芳しく時節の到来を告げており、農作業の疲れを癒してくれる有りがたい庭木となっています。一週間余り一斉に咲いてパッと散る儚さを伴いますが、幼い頃、小枝を折って葉っぱを取り去り小花の黄色い花だけでカンザシ代わりにして、その香りを楽しんだ思い出が甦ります。
     昭和の何もない時代に、自然の中で工夫して遊ぶ子ども達を今から思えば、貧しい中にあって心豊かに暮らしていたことを回想します。現代の子供は物や情報に溢れ、学校から塾通いやゲーム遊びと忙しい毎日、その頃のように自然の只中で高学年から幼児まで一緒に遊び、先輩から遊び方や物づくり、仲良くすることや危険でしてはならないことなど生きる術を学んだ時代とは隔世の感が有ります。異次元の暮らしぶりをしている現代っ子は大変な能力の持ち主で頼もしい限りです。

     現在日本の農業人口は3%弱、子ども達が自然と遊ぶ機会の少ない現代社会にあって、せめて育つ過程で、金木犀の香りに振り向いて頂ける機会を作って頂ければと思う時節です。

     

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  • Halloween

     アメリカでは10月31日は子ども達が楽しみにしている一大イベントの日です。
     魔女やお化けの仮装をしてご近所の家々を回り”Trick or Treat”と言ってお菓子をもらう愉快なHalloweenの祭日です。アングロ・サクソン系の国々では同じように行事が行われています。お祭りの起源を遡ると古代ケルト人が悪霊を払う為に始めた神事が形を変えて現在のようになったそうです。かぼちゃをくりぬいてジャック・オー・ランタンを表情豊かに作り上げてとても楽しい催しとなっています。
     日本ではカンボジアからポルトガル人によって持ち込まれカンボジアの語源からカボチャ(南瓜)と呼ばれ品種改良されてモチモチした日本カボチャが栽培されるようになりました。最近、あちこちで子ども達が楽しくハロウィーンの催しをする光景を向かけるようになりましたがまだ少数派です。
     ビタミンEやβカロチンが豊富に含まれ、冬に向かいビタミン不足になりがちな食生活に欠かせない作物で、冬至(12月22日)にかぼちゃを食べる風習はとっても理にかなったものです。9月頃に収穫して春過ぎまで保存が利きますので日本の食材として無くてはならない存在で、冬の鍋ものや煮つけ、フライなどとしてとても重宝です。当里でも自家用に栽培して保管していますが、料理に使う時に来年に備えて種子を保管し、余った種はフライにしておやつ代わりや酒のおつまみにします。無農薬栽培なのでうどんこ病にかかりやすいのが難点で栽培管理にとっても気を使います。
     巨大カボチャの世界大会まであるそうで、今までの記録はなんと911kg、ちょっと想像がつかない重量です。それに比べると当里で作っているものはさしずめ赤ちゃんカボチャ程度かも知れません。巨大カボチャの味ってどんなものなのでしょうか?
     解りませんが多分水っぽいのでしょうね?
     もし、召し上が居られたら方は感想をお聞かせ下さい。
     但し、当里では栽培する予定はありませんが・・・・。

     

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  • 道しるべ

    私は先人の中で特に好きな方は今から750年ほど前の賢人で吉田兼好(1262~1350)です。あの有名な「徒然草」を書かれたその人です。
    特に155段が心に深く染み入リ、人生の指針としていつも心がけています。
    その段をご紹介します。
     
     春くれて後 夏になり
     夏はてて秋のくるにあらず。
     春はやがて 夏の気を催し
     夏より既に秋は通い
     秋は即ち寒くなり
     十月は小春の天気
     草も青くなり 梅もつぼみぬ。
     木の葉の落つるも
     まづ落ちてめぐむにあらず
     下よりきざしつはるに堪へずして落つるなり。
     迎ふる気下にまうけたる故に
     待ちとるついで甚だはやし。
     生老病死のうつり来る事
     ただ是に過ぎたり。
     四季は猶定まれるついであり。
     死期はついでをまたず。
     死は前よりしも来らず
     かねてうしろにせまれり。
     人皆死あることを知りて
     待つことしかも急ならざるに
     覚えずして来たる。
     沖の干潟はるかなれども
     磯より塩の満つるがごとし。
     
     特に最後の二行は自然の定をズバリ言い切って諭している文言です。
     生かされている時間を大切に、生きとし生けるものに心を配り、この今の一刻を楽しむ境涯に至ってこそ、最高の幸せではないでしょうか。

     愚生にとって難題ですが・・・。

     

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  • 戦後農政の大転換?

     米作農家の保護政策を見直す動きが風雲急を告げています。
     TPP交渉に絡んで、我が国の農業政策を抜本的に改革する必要に迫られているからです。産業競争力会議分科会に於いて民間議員の性急な提言、それに呼応して政府・農水省は前向きに検討、農水大臣は減反政策の見直しを正式表明し、農地集約化を推進する公的機関の設立法案を閣議決定、競争力強化に向けた施策が視野に入っています。
     日本の歴史を紐解くと「黒船来航」を例に取るまでもなく抜本改革は全て「外圧」に拠って達成された国柄、今までに幾度と無く農業改革が叫ばれてきたにもかかわらず、一向に実らなかったのは国内論争に終始してきたからです。TPP交渉(外圧)が巨大岩盤を打ち砕けるか見ものです。(打ち砕いてほしいものです。)
     米作農家は今まで幾度となく小手先の政策に翻弄され涙を飲みました。政府が関与する度に農家は疲弊し見限って他の職業へ転職して、現在は3%弱が従事するに至っています。
    経済の原則から高付加価値産業へ移転することが国富の常道ですが、頓珍漢な保護政策を小出しにして農家を引き止めたがゆえに整理淘汰が遅れ莫大な国家予算をつぎ込んだ挙句成果が上がらない今日の結果に至っています。
     現在残っているのは一握りの積極的農家と、圧倒的多数の高齢者農家で、設備・農機具の耐用期限限定農家又は健康期間限定農家と言っても差し支えなでしょう。
    前者にとってはサバイバルゲームを覚悟の上で取り組んでおり、国は食料安保を鑑み農水省を始め・国交省・建設省・経産省・環境省などに横串を入れて抜本的見直を図り、国際化に照らし日本でしか出来ない商品とサービス等の強化を進める未来志向型農家に対して直接優遇措置を含めた配慮をお願いしたいものです。
     政府は声高に大規模化を叫んでいますが、外国とはスケールが全く異なり、日本では数十ヘクタールか多くて数百ヘクタール規模、その二桁三桁上をゆく外国とでは勝負になりません。やはり国内農業は小規模でも高付加価値を追求する道しか生き残れないと考えます。又、企業の農業参入を奨励していますが、企業が手におえる程生易しいものではありません。つまり、自然を相手にするわけで、サラリーを払って八時間労働で成立する代物ではないということです。余程、特殊な条件下(自然環境遮断型の野菜工場等)以外は撤退の憂き目に会うこと必定です。諸外国を含めて家族経営で成り立っているのはその為で、農繁期にパートを雇用する程度で、売上高や利益からして見合わないのです。
    今後の人口減少と食の多様化を考えると、廉売品は日本の農家が外国に出て行って大規模圃場で技術を活かして生産し国内へ輸入する。方や個別商品は国内で高品質商品を少量生産しサービス化を図って消費者にお届けする、と同時に世界中から日本の食文化を楽しんで頂ける観光立国に育て上げてはいかがでしょうか。
     この際、国はあまり我々に関与(規制)してほしくないものです。

     

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  • 台風30号(HAIYAN)

    11月8日に台風30号(HAIYAN)が895HPの超猛烈な勢力でフィリピンを襲い縦断して行った。台風一過、惨憺たる被害の惨状にフィリピン政府は国をあげての救援活動、アメリカを始め、日本、イギリスなど各国も救援に乗り出しています。被害は深刻で日を追う毎に犠牲者の数は増え続けています。瞬間風速100mの暴風雨と3~4mを超える高潮が押し寄せ、家屋は全壊し数千人の犠牲者が出ている模様です。
    お悔やみとお見舞いを申し上げます。
    救援活動に入っている皆様、日本の自衛隊や医師団の皆様に頑張って頂き一刻も早い救援をお願いする次第です。
     1961年(昭和36年)9月16日9時頃に室戸岬西に上陸した第二室戸台風を思い起こします。私は中学生でその時の恐怖感は今でも忘れることが出来ません。
    9月8日南太平洋エニゥェック島南海上に発生した台風18号です。襲来の一週間前より海鳴りがして異常に真っ赤な夕焼けから始まりました。14日には沖縄東海上を通過、15日朝には奄美大島へ、そして16日早朝より猛烈な台風が勢力を保ったまま室戸岬西に上陸、最大瞬間風速84.5m最大風速66.7mで、進路はまっすぐ我が家の阿南市那賀川町へ、将に直撃でした。15日夜半から猛烈な暴風雨で家はきしみ、夜明けとともに激しさは筆舌にしがたく、南風の雨束が真横に轟音を立てて間断なく吹き荒れ、木々は息するまもなく真横にさびかれたままで耐え切れないものは根本から吹っ飛んでゆきました。那賀川平野は田園地帯で障害物もなく普段から風強地域の土地柄、その暴風たるや尋常でない事はすぐに理解出来ました。瓦は木の葉のように吹き飛び、あらゆる物を真横に吹き飛ばして家屋に叩きつけ、雨戸や壁を猛烈な暴風雨が打ち付け入母屋造りの家屋がきしみ音を立て悲鳴を上げ、雨戸の上に八分板を並べて張りカンヌキで止めて補強してあるにも関わらず屋内の雨戸は湾曲し今にも破壊されそうな状態で、畳を上げて内側から支え棒で補強しているにも限界を超えた事態でした。ご近所の家屋は雨戸を打ち破られ風を抱いて一気に屋根を吹き飛ばされ全壊した。台風銀座と呼ばれる地域であっても予想を遥かに超えた台風に恐怖心で身が震えました。やがて台風の目に入り急に何事もなかったかのように晴天無風、それもつかの間、暫時あって、すぐに吹き返しの強烈な北風の暴風雨が始まり、反対側の家屋の瓦を吹き飛ばし、又北側の雨戸が同じ状態と化し、祈るしか道はありませんでした。やがて暴風雨は衰え始め、進路は西宮、尼崎へと再上陸して能登半島へ勢力を弱めながら通過してゆきました。その時の台風被害は死者194名、行方不明者8名、負傷者4,972名、住宅全壊15,238棟、半壊46,663棟、床上浸水123,103棟、床下浸水261,017棟、稲は全滅、他の農水産物も壊滅状態で復旧復興には数年の歳月を要した大災害でした。
     あれから52年後にそれより気圧が5HP低い(大きい)巨大台風がフィリピンを襲って大被害を齎しました。本当に恐ろしいことです。自然が牙をむくと人の手に負えるものではありません。

    自然には勝てない「無情」を感じます。
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  • 大黒さん

     大黒天を私共の地域では「大黒さん」と呼んでいます。
     元はインドの民族信仰の神様としての福神、日本に伝来して厨房の守護神として、又五穀豊穣の田の神様として米の収穫が終わった11月に農家では大根を神棚にお祭りして御利益に感謝します。その大根、曰く因縁は知りませんが二股の大根が良しとされています。
     我が家には紙粘土で作られた恵比寿さん(神)と大黒さん(神)のお面が化粧額で飾られて有りましたが、何分にも古く、掃除の際に撤去して、現在新しい神様の到来を待っている所です。
    時節柄、大根はすりおろして焼き魚や焼き肉に良し、鍋物によし、葉は浅漬に、茎は漬物や沢庵漬にするも良しと今が旬です。ちなみに皆様が召し上がっておられる大根は根では無く、茎です。栽培している様子をご覧になるとよく判りますが、肩の部分が緑がかっています。これは太陽に当たって緑色に変化したものです。土中に有るものは真っ白です。
     根はその真っ白く太った茎から沢山の細い根が生えています。スーパーなど店頭に並ぶときはその根を綺麗に取って洗った状態です。
     古事記には「すずしろ」と記されて春の七草の一つになっています。
     ジアスターゼが多く澱粉の分解酵素で消化を助けて解毒作用が有ります。「大根役者」はこの食当たりしない所から「当たらない役者」を比喩したものです。
     又、大根のど飴を作るも良しです。
     作り方は簡単で、皮付き大根をサイの目に切って容器に入れ、その上に蜂蜜か水飴をたっぷりかけて2~3日置くと大根の水分が出ます。しなしなになった大根を取り除いて完成です。スプーン一杯をお湯で薄めて飲むか、うがい薬としても重宝です。

     向寒に元気に過ごす安上がり健康法の一つです。
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